進化を止めた在来線特急の未来はどうなる?

2016.07.23 Saturday

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     踏切区間での在来線の最高速度は1989年3月以来、130km/hから上がっていません。1968年10月、いわゆるヨンサントオ改正で120km/hになってから10km/hの速度向上を達成するのにかかった期間を既に軽々超えています。

    曲線を高速で通過するの為の振り子、空気バネ式車体傾斜などの技術(以下、振り子等)も十分普及したとはいえず、紀勢本線の「くろしお」系統では新型車両の287系に振り子等が採用されず、残りの381系置き換えも非振り子の289系(元683系)によってなされたため、国鉄形の381系時代よりも所要時間が増加しています。JR北海道は車両トラブル続出と経営難という特殊な状況なので同一には語れませんが、やはり現在投入中のキハ261系1000番台の2015年度以降増備車は車体傾斜装置が非搭載になっています(既存車の車体傾斜装置も停止し最高速度も120km/hに)。

     在来線を中途半端に改良して中途半端に速度向上するくらいならフル規格新幹線を、という風潮になっているのも一因ですが、全ての在来線特急を置き換えられるほど新幹線のネットワークは広がっていませんし、今後ともそこまでは広がる予定はありません。

     狭軌の限界、および600m条項の問題については他の方が十分検証されているでしょうから、ここでは、そもそもなぜ速く走らなければならないかという究極の問題を通して今後を考えてみたいと思います。

     

     鉄道の最高速度向上は、移動という乗客にとって何もできずただじっとしている時間を短縮し、発着地での行動時間を拡大するというサービスを実現するための手段だと考えています。そしてそのサービスが他交通機関との競争力となり、ひいては鉄道会社の収益向上につながるものだと認識しています。

    一方、上記の目的を達成するためにとりうる手段は、最高速度向上だけではありません。到達時間の短縮に限っても、加減速度の向上や線路容量の増大、保安装置の改良(デジタルATCによる一段ブレーキなど)の様々な手段が考えられます。上越新幹線の「あさひ」で下り勾配区間限定の275km/h運転の200系よりも240km/h運転のE2系の方が所要時間が若干短かったのは鉄ヲタの中では有名な話です。

    さらに、乗客用コンセントの設置やトンネル等での通信の改善、無線LAN等の整備により、列車内でただじっとしているしかない状態を改善することができますし、発着地での行動時間拡大の為には駅の改良や二次交通の整備も有効な手段です。

    現状では、ブレーキの改良や保線コストの増大を伴う速度向上よりも、上記のような手法によるサービス向上の方が費用対効果が優れていると判断されたため、速度向上が行われていないという側面もあるでしょう。

     ただし、こうした「車内で出来る事を増やす」というアプローチは、山陽新幹線博多開業に伴う乗車時間増加に対応して連結された新幹線の食堂車が、速度向上に伴って300系以降の車両で連結されなくなったのとは逆の方向性ではあります。また、現在の在来線特急においては、上記のような速度向上以外のサービス改善策さえ採られていなかったり、既存のサービスが縮小している(車内販売廃止等)場合も少なくありません。

     こうした線区においては、鉄道会社の経営上、他交通機関の拡大や沿線人口の減少等に対する対応として、何らかの対抗措置をとるよりも撤退した方が費用対効果が優れていると判断されているのでしょう。

     

     以上のような現状から、私が予想する次の25年程度での在来線特急の(一部希望含む)展開としては、

    ・JRグループ(並行新幹線の予定のある路線除く)

    当面速度向上以外のサービス改善に取り組む線区と、それすら放棄し事実上撤退する線区でハッキリ線引きが行われる。

    前者の線区では今の新型車両が寿命を迎える頃くらいにお偉いさんの鶴の一声とかあれば140km/h以上の検討も?

    後者の線区はガンガン減便、廃止。要するに昨今のJR北海道のような感じ。

    政治情勢次第では200km/h出せれば御の字みたいな低コスト新幹線の検討もありうると思います。

    …観光列車?東京五輪の頃くらいまで造りまくって持て余すんじゃね?

    ・私鉄

    所要時間短縮に取り組むにしても線路容量向上や低速区間解消が優先な気がします。現状130km/h以上出してるのも京成と近鉄、(特急じゃないけど)TXくらいですし。

     

    「地上側も含めて低コストで速度向上できる技術」が出てこない限り、こうした状況は打開されない気がします。

    JUGEMテーマ:鉄道

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    2017.04.30 Sunday

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      コメント
      福知山線脱線事故
      • by genpi
      • 2016/07/23 6:26 PM
      genpiさん
      同事故で安全志向が高まったのも高速化停滞の要因の一つといえるでしょう。特にJR西日本では。
      ただ、速度向上行き詰まりの傾向はそれ以前からみられていた上、JR北海道で開発中止になったキハ285系開発に向けた試験は福知山線事故以降も続けられており、決定打だったかというと微妙な気もします。

      それと最後に一つ、私はブログはコメント欄も含め長文、少なくとも文章でやりとりする場だと考えています。
      そのため単語一つ書いておしまい、言ってやった、みたいなコメントの仕方はどうかと思います。
      TwitterはTwitter、ブログはブログ、でお願いします。
      • by パキラ
      • 2016/07/24 7:19 AM
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